会長あいさつ
2022年6月18日
信州昆虫学会
会長 中村寛志
このたび吉田利男会長の後を引き継いで,学会長をお引き受けすることになりました.学会のさらなる発展のために尽力いたしますので,会員の皆様方にはご指導とご協力をお願い申し上げます.
これを機に本学会を振り返ってみると,1950年(昭和25年)に信州大学で日本昆虫学会第10回大会が開催された折に,長野県にあった3つのチョウ類同好会(諏訪蝶類同好会,長野蝶類同好会,北信蝶類同好会)が統合して信州昆虫学会が発足しました.ちょうど私が生まれた年にあたります.初代八木誠政会長から小山長雄氏,安藤裕氏,枝重夫氏,森本尚武氏,吉田利男氏と引き継がれてきて,72周年を迎える学会です.学会誌「New Entomologist」は翌1951年4月に第1巻1号が発刊されています.この巻に掲載されている会則をみると,「会費は月30円とし,3ヶ月以上まとめて納入する」とあります.この巻頭に八木会長が,学会の設立を機に昆虫の愛好家ではなく新昆虫学者(New Entomologist)として研究してほしいとのべています.それ以後チョウを中心に分布や生態などの多くの新しい知見が投稿されてきました.そこには里山から高山までの多様性豊かな信州の自然環境の賜物であったと思います.
70数年を経た今日,開発をはじめ里山の耕作放棄また地球温暖化や外来生物問題など信州の生物多様性の危機が顕著になってきています.信州昆虫学会の我々もこのような地球の危機に目をむけ自然との共存をめざす活動が必要だと考えています.そのため,会員や役員の皆様の意見をいただきながら,学会誌の発行と年次大会だけでなく,学会の若返りのための新しい企画やアイデアを募集し,またブログやHPを通して社会への発信など計画しています.さらに現状に即して会則と投稿規定の見直しなどの作業を進めていきたいと思っています.
本学会が大きく脱皮して「新しいNew Entomologist集団」として飛躍することを願って会長就任の挨拶といたします.